黒色化と赤目のアルビノ
■黒い鳥(メラニスティック) ■赤目の鳥(フィノ)(アルビノ)
【 メラニスティック 】 黒色化の鳥
メラニズムという黒色化現象がある。これは色素の異常であって遺伝的支配によるものではない。
黒色化したオスはブラックフェイスそっくりになる。もちろんロアが黒い。
そして腹も黒く、下尾筒まで黒くなるものもいる。
なんと良いブラックフェイスかと、ときにはオーストラリアにしか存在しないはずのチャコールやブラックボディーではないかと喜んでしまったりする。
黒色化したメスはロアが黒い。
ブラックフェイスであるならメスのロアは黒でなくグレイのはずである。
ここでますます新種かチャコールか、となる。
そういうメスはたいてい腹や下尾筒も黒くなっていることが多い。
しかしそれらは十姉妹でいう「カラス」と同様の黒色化現象の鳥である。
アメリカのロイ・ベッカム氏のウェブサイトにも記述と、最もひどいケースという腹全面が黒いメスの写真が出ている。
『メラニズムは代謝不全の疑いがあり ひょっとすると肝臓疾患と何らかの関係があるかもしれない』とある。
肝臓疾患か栄養障害か定かではないが、私も何らかの原因による色素異常とだけ言っておきたい。
私自身も経験したが、それらの鳥を入手した人達からの数々の報告があり、何ヶ月かのうちに普通の鳥に、つまり本来の姿に戻ってしまったというものである。
死んでしまわなければ、異常さえ治れば姿は戻るということで、このことはいくつかの海外サイトと書籍にも書かれている。
なかには黒色化した姿のまま一生を終えた鳥もいる。
それは「異常が治らなかった」だけだと私は思っている。
「本当の新種」だったならその形質が複製でき遺伝的背景が証明されなければならない。
だが残念ながらそれはかなわなかった。 提供していただいたひとつの例がここにある。
この5枚の写真の左上の画像の2羽は同腹の兄妹である。親は不明。ディスプレイによっては明るく見えている人もいるかもしれないが、フォーンベースであるものの結構ダークな鳥である。
オスメスともにロア、胸、腹、下尾筒までが「まだら」に黒い(5枚目画像)。
そのくせに翼の羽毛の一部に白っぽいグラデーションがある(3枚目画像)。
この風変わりな鳥たちの正体を知るために、通常はしてはいけない事だが私は「兄妹がけ」を試したらどうかと言った。
これが新しい変異なら、両親ともに表現型の場合、仔は必ず親と同じものになる。
はたして2度の巣引きで生まれたすべての仔は普通のフォーンであった。
しかもその間に元の2羽までが見事なまでの普通のフォーンに変身したという。(2枚目画像)
こうして今、ビフォーアフターを見比べてみると、黒かったときの羽毛は質まで何かおかしい。
やはりこの例では「何らかの原因での一時の色素異常」であったと言える。
この例ではまだらな黒で、ロアには白点と翼には色抜けさえあったが、チャコールかと言われるほどただただ黒くなっていた個体もいた。
しかし「治って」しまった。
ほかにもメラニンの異常と思われる個体の画像を載せておこうと思う。
↑ 画像提供:@luv_adriana
ブラックブレスト・パイドのオス。上段がショップから迎えたときの姿。
ブラックフェイスかのように、それ以上にロアが黒々とした顔。
下段はその2ヶ月半後の姿。ブラックブレスト本来の姿に“治って”きたところ。
↓ ほかにも2例 ↓
【 フィノ 】phino
たぶんフィノと発音すると思うがフィーノかもしれない。
いずれにせよ、このスペルを見るとフェオメラニンのpheoとイノinoをくっつけた造語だと思う。
ということはおそらく赤目なのだろう。
なぜ「だろう」かというと写真と解説が見当たらないからである。
「Phino」という名前だけを時々見る。そして「おそらく絶滅した」と書かれている。
写真があれば、頑張ってリアルなイラストでも描いて載せたいところだがどんな鳥かわからない。
じつは写真は1枚だけ海外サイトのどこかで見た。
しかし暗いぼけた画像で、しかも背面から撮ったもので目の色などわからないし羽毛の本当の色もわからない。
その画像で想像すると、白っぽい地に黄褐色がぼやけた「イザベルの腹」みたいな色の鳥だった。
ようするにクリームイノなのかもしれない。
すべて「かもしれない」なのでここらでやめておくが、実際にヨーロッパに存在したことだけは確かなようなので、いつかまたどこかで出現するかもしれない。
そうしたら今度はぜひ、固定し保存してほしいものだ。
【 アルビノ 】albino
錦華鳥の品種としてのアルビノはいない。アルビノの変異遺伝子はまだ発見されていない。
と、ロイ・ベッカム氏がサイト上で言い切っているが、その後彼がアルビノのトピックを立てないところをみると、まだ品種としてのアルビノはできていないようだ。
もちろん他の国のサイトでも確認できない。
しかし目にも体にも色素の出現のない白い羽毛で赤い目の錦華鳥が「いたという話」だけは読むことがある。
だが写真はない。洋書を読んでも「~らしい」という話ばかりだ。
その「~らしい」話によるとアルビノは1950年代にオーストラリアで初めて出現したと考えられているが、じつはもっと以前に出現していて「ホワイト」と見なされてきていたのかもしれない、ということである。
その当時にヨーロッパや他の国に持ち出されたようだがその後どうなってしまったというのか。
そのうちオーストラリアに鳥類の輸出入禁止令ができ、オーストラリアからアルビノのみならず他の新しい変異も国外へ持ち出すことはできなくなった。
で、それはわかったが、今オーストラリアの書籍やサイトを見てもアルビノの写真も解説も見つけられないのはどういうことか。
やはり品種として確立できないのではないだろうか。
アルビニズムというある種の色素異常でそういう鳥が時々生まれるだろうことは驚きもしない。
が次の世代への遺伝子の受け渡しを経て特徴が複製できないのであれば、
結局は色素欠乏症の個体ということになりはしないか。
しかしいつかどこかで、いや今ここにでもイノ出現の可能性はある。
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