未知の錦華鳥たち(2)

オーストラリアに鳥類の輸出入禁止令が施行されて以降に出現し固定された品種については国外に出ることがないため私たちには入手が叶わず海外サイトの写真を見るしかありませんし、それらの品種についての情報も多くはないのですが、簡単なイラストを添えて簡単に解説したいと思います。

   



【 スレート 】Slate Zebra Finch

略表記はSL、常染色体上の劣性遺伝形質である。

  

スレートはレセッシブ シルバーと同一であるといわれている。

レセッシブシルバーのページにスレートのことも少し書いたのでそちらも見ていただきたいと思う。

   



【 グリズル 】Grizzle Zebre Finch

略表記はGZ、常染色体上の劣性遺伝形質である。

  

グリズルは1959年に初めて発見されて以来ずっとオーストラリアに存在し、豪本国では珍しくないのであるが、ヨーロッパでは非常に稀で英国と米国では未知である。

当然ながら日本にも存在しない。

体色はノーマルグレイと同じであるが、全ての羽毛が「塩コショウ」のような白いマダラを示している。

「グリズル」とは「灰色の、白髪まじりの」という意味である。(この特徴をグリズリングという)

オスのチークパッチは涙マークに沿ってオレンジストライプだけを示し、残りのエリアはグリズリングを示した体色が載っているべきとされる。

メスは灰色(単色)のチークパッチを持っている。

   

グリズルには2タイプがあり、ひとつは「塩コショウ」のようなマダラのみ示すもの、もうひとつはマダラとともに更に頭頂部にリザードカナリアの帽子(Cap)よりも大きな白いCapを示すものである。

ショーの審査基準においては、この白いCapは望ましくないとされているが、この形態を示すタイプが本当のグリズルではないかといわれる。

グリズルは成長とともに徐々にグリズリングを発展させる。

白の量は大抵、換羽を繰り返すごとに増え、それはペンギンがフロスティングを発展させる形態に似ている。

何度かの換羽によって望まれた「塩コショウ」のような外観に達するまでは、グリズリングが背中のスパングル状の縁取りに限定されているものもいる。

   



【 ブラックフロント 】Black Fronted Zebra Finch

略表記はBFR、常染色体上の劣性遺伝形質である。

   

ブラックフロントは1965年に最初に発見されて以来ずっとオーストラリアにのみ存在する。

外見的にブラックフェイスに似かよっているが、ブラックフロントはロアを上半分だけ黒にしている。

黒い胸バーはのどからクチバシまで、上に向かって拡張されていて、BFとは逆である。

チークパッチとフランクはノーマルなままであるが、尾は全て黒く、尾バーはない。

   




【 ベージュ 】Beige Zebra Finch

略表記はB、常染色体上の劣性遺伝と性染色体上の劣性遺伝の結合品種である。

   

これは「スレート(=レセッシブシルバー)」と「フォーン」の結合品種である。

たいていの品種は頭部と背翼面で色合いが違うものだが、「ベージュ」は頭から首、翼にいたるまで均一にベージュ色である。

涙マークは茶色、喉ストライプは薄茶の地に茶色の縞、胸バーは茶色である。

ロアは白、尾バーは茶色と白の縞である。

レセッシブシルバーもフォーンも、チークパッチとフランクはノーマルから変更しないので「ベージュ」のそれらもノーマルと同じ色である。

   



【 キャラベル 】Carabel Zebra Finch

略表記はCA、常染色体上の劣性遺伝形質である。

   

おそらくまだショーにおいて未公認であると思う。

詳しいことはわからない。(何か判ったら追記します)

オレンジマーキング以外の色をすべて希釈する。

何枚もの写真を見たがグレーイザベルにそっくり、としか言えない。

   



【 アルミナ 】Alumina Zebra finch

略表記はAL、常染色体上の劣性遺伝形質である。

    

これも新しい品種であり未だ正式な品種としては未公認である。

遺伝的背景など詳しいことはわからない。(何か判ったら追記します)

アルミナとはアルミ化合物のこと。 その名のとおり1円玉みたいな色である。

頭~背翼面にクリーム色やベージュの色合いが加味されていない。

ライトシルバーというか、やはりアルミ色である。

黒マーキングもオレンジマーキングもともに、体色と同じレベルで薄められている。

    



【 ジョージ 】George Zebra Finch

略表記はGE、常染色体上の劣性遺伝形質である。

    

アデレード(サウスオーストラリア)で新しく発見された変異である。まだ未公認である。

この驚くべき特異な変異はオーストラリアにしかなく一個人の所有としてだけ存在しており誰にも入手することはできない。

   

新しい変異なので、特徴の多くは殆んどの鳥に共通して出現しているもののまだ確実に一貫しているとは言えず、この「ジョージ」を適切に解説できるほどには全ての特徴を固定できていない。

   

基本的な色はノーマルから変化していない。しかし特異な変化が各部に現われている。

ノーマルよりもサイズの大きなチークパッチは、羽毛が顔にぴったり沿わずに浮いて広がっている。

そのため正面から見ると横幅が膨らんでユーモラスな顔をしている。

チークの羽毛はただ浮き上がっているのではなく、

基礎のチークパッチの羽毛の後ろの方から突き出すように小さい羽毛が生えているのである。

それはオレンジと白の羽毛である。

喉ストライプはノーマルよりも太くて重厚で、白地に太い黒線である。

実際の胸バーは無い。しかし胸バーがあるべきエリアはより黒くなっている。

クチバシの両脇と下に、白いヒゲを示すことがある。このヒゲの特徴を「ウィスカー」という。

この特徴はまだ一貫していない。 クチバシの下のウィスカーは羽毛が左右に均等に分割されている。

フランクはじつに特異でスポットはもはや点ではなく白いバーか大きなストライプ状になっている。

そして最も特異なのは首と背中と翼上に点在する形や大きさが不定のマーキングで、黒とオレンジと白で示す大胆なスポットがある。

スポットは概してハート型かソラ豆型をしている。

そして最後の特徴として「ジョージ」はほとんど例外なく他の品種よりも大型で幅広である。

   


        * オーストラリアの変異種 ここまで



【 アゲイト 】Agate Zebra Finch

略表記はAG、常染色体上の劣性遺伝形質である。

   

これはヨーロッパの変異種である。日本にいない。

ヨーロッパでどれくらいポピュラーなのかわからないが、解説した文献が見つけられない。

アゲイトとはメノウのこと。赤い鉱石である。

頭部のみノーマルから少しだけ色が薄まったようなグレーであるが、

背翼面は赤みのある明るいライトブラウンであり独特の色合いである。

風切の先だけダークブラウンになっている。

その他はノーマルから変化していないようである。 

   


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キンカフリーク/錦華鳥(キンカチョウ)の品種と遺伝解説

キンカチョウには変異が多く実に多彩なバリエーションを展開しています このホームページではキンカチョウの個々の変異遺伝子がもたらす特徴や遺伝のしかた さらにそれらの変異が結合(コンビネーション)して出現する多数の品種を 写真とともに解説したいと思います