ペンギン( Penguin )

略表記はPNG、常染色体上の劣性遺伝形質である。

   

ペンギン遺伝子の最も重要な働きは頬と胸を含む鳥体の腹側全体における灰色と黒の色素(ユーメラニン)の出現を抑えることである。

ユーメラニンが変化することで作り出されるフォーンカラーをも抑える。

よって下尾筒までを含むこのエリアは純白となる。

ヨーロッパではペンギンをホワイトブレストと呼んでいる国もある。

   

「ペンギン」という名前はもちろんあの南極などにいるペンギンからであるが、メスの姿はまさにそれである。

そしてメスの外観、これこそがペンギン変異の特性を理解するカギになる。

普通どの変異種のメスでも、オス特有のマーキングがある「チーク」と「喉~胸」と「フランク」のエリアには体色が薄まったような色がついているものである。

しかしペンギンのメスはチークエリアだけでなくフランクエリアにも色がない。

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このことからペンギン遺伝子がユーメラニンを抑えるエリアがよくわかるであろう。

クチバシの付け根、ロア、涙マーク、チークパッチ、喉ストライプ、胸バー、フランク、胸~腹~下尾筒、これらのエリアである。

これらのエリアはフォーンと結合してさえもクリーンな白である。

   

他の特徴として、ペンギンには翼に霜で覆われたような白っぽく霞んだ「フロスティング」がある。

このフロスティングは換羽を繰り返すたび、つまり年齢が上がるほど特徴が発展し翼は白っぽくなる。

尾バーは少し色が薄まり、さらにその上にフロスティングを示す。

   

   

【 オスの外観 】

頭~背翼面の色はノーマルから変更されないが、翼のフロスティングの特徴は白くぼかした覆輪のようにも見える。

オレンジ色のチークパッチとフランクはノーマルの濃さのままである。

クチバシの付け根、ロア、ともに白。涙マークがなくなり、そのエリアも白くなっている。

アゴ~のど~胸~腹~下尾筒、これら体の下側はすべて純白である。

尾は薄められた黒だが、尾カバーは白い縞のほうが面積が大きく、そして尾バーの黒い縞は薄められ、さらにその上にフロスティングがかかり全体として白っぽい。

   

【 メスの外観 】

オスにあるチークパッチとフランクがない。そのエリアは純白である。よって顔全体が白い。

そのほかはオスと同じである。腹も純白である。

   

【 ヒナと若鳥の外観 】

   

孵化したばかりのノーマルペンギンのヒナは黒いクチバシに黒い皮膚である。

そして羽毛が開き、巣立つ頃の姿は予想外の外観をしている。

   

涙マークを完全に有し、チークエリアにもフランクエリアにも体色がついている。

胸・腹はいくぶん白っぽいが、ノーマルそっくりの姿である。

    

しかしペンギンである証拠は尾カバーである。

ペンギン独自のフロスティングの特徴がヒナの時から必ず出ている。

翼のフロスティングはヒナ羽の時にはまだない。雛換羽が終われば出る。

同時に涙マークやチークエリア、フランクエリアのユーメラニンが消えて白になる。

   

【 スプリット鳥の見分け方 】

オスメスともに、ペンギン遺伝子を1つだけ隠し持った状態の鳥を外観から見分ける方法はない。

   

【 間違えられやすい外観 】

ブラックブレストのヒナやメスは、よくペンギンと間違えられる。

本物のペンギンのヒナが涙マークを持ちノーマルそっくりなのに対してBBのヒナは涙マークがなく、しかもチークが白っぽく、こちらのほうがペンギンぽい。

写真は 左:BBのヒナ  中:BB♀の成鳥  右:BBライトバック♀の成鳥

   

   

BBノーマルの成鳥メスは、白っぽいとはいっても頬に色があるし腹の黄褐色が目立つが、しかしBBライトバックやBB LBフォーンになると頬の色はごく薄いし腹は真っ白になるので本当によく間違えられる。

ペンギンでなくBB系であるのなら、尾を見れば見分けられる。

BBには尾バーがなく、全部が白い。

そしてクチバシの付け根に黒い線が入る。ペンギンにはこれは無い。

   

【 ペンギンと他変異との結合 】

黒マーキングを無くし腹を真っ白にするペンギン変異は他変異との結合で面白い結果をもたらす。

しかし相手変異の特徴を打ち消す場合もあり、結合が外観に何の結果ももたらさないこともある。

ブラックフェイスとの結合がまさにそれである。

BFはロアを黒くし胸バーを拡張しようとするが、ペンギンはそのエリアに黒色素を許さないので全く効果がなく、その2つが結合してもオスメスともにペンギンの外観のままである。

   

   


◆ 結合品種の解説 ◆


   

フォーン・ペンギン(F PNG)

  

ペンギンのフォーンバージョン。

頭~背翼面~尾までがフォーンカラーとなる。チークとフランクは不変。

グレイペンギンと比較すると、よりソフトな外観をしており、また翼のフロスティングはあまり目立たなくなっている。

しかし歳をとるごとにフロスティングが増してはくる。

   


   

ブラックブレスト・ペンギン(BB PNG)

   

胸が黒くないのに黒胸ペンギンとはこれいかに。

胸エリアに黒色素を出させないペンギンの特性がBBの特徴を抑える。

しかしそれ以外のBB特徴は出す。

オレンジ色のチークパッチは拡張され、フランク上の白スポットは長く引き伸ばされ、尾バーはなくなり白になる。

BBペンギンのメスはほとんどペンギンのままの姿であり、結合によって変わるのは尾バーがなくなることだけである。

BBペンギンのヒナはBBのヒナと同じ姿である。

   


   

ブラックチーク・ペンギン(BC PNG)

   

これも頬が白いのに黒頬ペンギンとはこれいかに、である。

ペンギンはBCの効果を打ち消してしまう。ペンギン遺伝子の働きはクチバシの基部も含めた顔全体と、体の下側全体から黒色素を排除することである。

この部分にオレンジだけを許して黒色素の出現を許さない。

よってノーマル状態のオレンジチークをBCが黒く変えても、ペンギン遺伝子が黒を許さず打ち消すのでオスのチークエリアは白となる。

フランクにも黒を許さないのでBCが黒く変えきれなかった分のオレンジが薄く出現する。

黒く変えきれる良いBCであったならフランクも白くなってメスのようであろう(左の写真:♂)。

BCペンギンのメスは全くペンギンのままの姿である。

   


   

ライトバック・ペンギン(LB PNG)

   

体の上側の色がライトバックの「薄められたグレー」となる。

オスのチークパッチとフランクもLBの特徴である薄まった状態で表現される。

上記の【間違えられやすい外観】の項で書いたようにBBライトバックのメスはペンギンそっくりである(オスのほうは全然似ていないのであるが)。

そのためペンギンのオスに間違えてBB LBのメスをペアリングしてしまうことはよくあるようである。

その結果このようなペアから生まれたオスはペンギン遺伝子とライトバック遺伝子を同時に持つことになる。

ライトバックは伴性遺伝なので結果「ライトバック・ペンギンのメス」というのは個体数が意外に多い。

   


   

CFW・ペンギン(CFW PNG)

   

この結合は良くないとアメリカのサイトには書いてあったのだが、オーストラリアのサイトではイザベルペンギンと共に「レッドフランク」という呼び名で紹介されている。

オーストラリアのCFW(マーク・ホワイト)はオレンジマーキングが濃いから良いのだろう。

なぜアメリカで良くないと言われるかというと、ペンギン遺伝子によって黒マーキングを無くしてしまうと白い体の上にはうっすらしたオレンジマーキングだけしか残らないからであろう。

メスなどほとんどホワイト錦華鳥に近くなってしまう。

Reg.CFWでは尾バーがもともと薄いところへペンギン遺伝子によってフロスティングが入りいっそう白っぽくなってしまう。

   


   

イザベル・ペンギン(GIS PNG)

   

GIS,FISともにイザベルの色のままで体の下側全部が白になる。

イザベルは腹が豊かなクリーム色をした品種だが、それが純白になる。

ペンギンの特徴であるフロスティングは当然出すが、GIS,FISともに体色が薄いので目立たない。

オスのチークとフランクはイザベルのままフルな強さのオレンジを示す。

最近のFISはオールオレンジ・イザベルを作ることが人気なのでOBやBBの遺伝子が入っている事が多い。

その場合背翼面にはオレンジ色のスパングルが多く出るが、そうでない白いFISで作られたイザベル・ペンギンのオスは「レッド・フランク」という愛称で呼ばれる白い体にチークとフランクだけが赤いユニークな鳥になる。

ただしメスは体の殆んどが白いだけである。

   


   

フォーンチーク・ペンギン(FC PNG)

   

FCの濃い黄褐色の腹はペンギン遺伝子によって下尾筒まで純白となる。涙マークと胸バーも消える。

チークエリアからはフォーンカラーも抑えられるため残ったオレンジ色素だけでチークパッチは表現される。

写真は光が当たって尾が白く写っているが、フロスティングで薄められクリーム色になった歪んだバーがあるはずである。

ペンギンは背面の色と腹の白のコントラストが魅力という観点から、はっきりした色の変異との結合が良いとされていて、白系の変異との結合は奨められないというのが教科書的な見解であった。

しかし現にこうして見るフォーンチーク・ペンギンはじつに上品で美しい。

これはFCの背面の色について黄褐色を残すような交配をしてきた結果である。

FC同士の交配では背面が殆んど白くなりマーキングの薄い鳥ができる。

盲目の発生率が上がることからもそれは避けたほうが良い。

優性遺伝であるFCにペンギンを組む。そこから生まれたFC/pngにまたペンギンを交配すれば、このように背翼面に模様を残した美しいFCペンギンができる。

   


   

ペンギン・パイド(PNG P)

   

パイドのページに「ペンギン独特の魅力的なパターンをパイドとの結合によって壊すべきでない」と書いた。

まさに壊されたペンギンがこの写真のオスである。

風切羽が数枚白いという程度ならまだましだが、パイドの色抜けはどこに出るか操作できない。

ペンギンは体の下側だけが純白なのが魅力の変異種である。

おかしな所に左右不対象に色抜けを作るべきでない。今は「どんな柄だってウチのコは可愛いからいいんだもん!」というレベルで話をしていない。この写真の鳥も私の「可愛いウチのコ」である。

パイド遺伝子は少しのサインも見せないスプリット鳥によって運ばれることがあり、よりによって最も望まないときに望まない箇所に色抜けを生じさせる。

ペンギンにはわざわざ望むべきでない。

    


   

【 ペンギン備考 】

ペンギンはもともと小型の品種である。身体が小さく貧弱だという意味ではない。

ショーバードタイプにペンギンが少ないという意味で、そのため市場に出てくるペンギンにもいわゆる「ジャンボ系」の血を引いた鳥が少ないのである。

それで体格向上のため体の大きいノーマルにかけ戻し、スプリットを作ってまた現物に交配するという改良方法を取る。

背面の色と腹とのコントラストを維持するためにもノーマルへのバッククロスは時々必要であるとされる。

それでなくてもノーマルに限らず他変異と交配することはよくあると思う。

そうやって作ってきたペンギンは、正しくペンギン遺伝子が2個揃った正真正銘のペンギンであっても、この品種としては欠点である胸バーとゼブラストライプの痕跡が出てしまうことがよくある。

   

ペンギンのオスにはこの写真のように薄くゼブラストライプが出てしまったものが多く存在する。

     

ペンギン変異はオーストラリアで発見された。

しかしオーストラリア国内ではやがて関心を持って飼育繁殖されなくなり消失してしまった。

消失前に国外へ輸出されたものが今、欧米や日本でポピュラーになっている。

しかしオーストラリアではペンギン消失後、鳥類の輸出入禁止令が施行され、他の国からペンギンを逆輸入することもヨーロッパ発祥の他の変異を輸入することも出来なくなった。

逆に近年オーストラリアで作られた独自の変異種も国外へ出ることがないため、オーストラリアにしか存在しない変異種も多い。

   

   


   

   

  



キンカフリーク/錦華鳥(キンカチョウ)の品種と遺伝解説

キンカチョウには変異が多く実に多彩なバリエーションを展開しています このホームページではキンカチョウの個々の変異遺伝子がもたらす特徴や遺伝のしかた さらにそれらの変異が結合(コンビネーション)して出現する多数の品種を 写真とともに解説したいと思います