レセッシブ シルバー( Recessive Silver )

略表記はRS、常染色体上の劣性遺伝形質である。

 

  

☆(じつはこのレセッシブシルバーという種は日本にいないかもしれない。過去にいたのかどうかさえ判らないながら、とりあえず書きます。)

   

レセッシブシルバー変異は全てのベースの灰色を薄める。

ノーマルの背翼面に含まれた褐色味はなくなり腹をのぞく全身が明るい灰色となる。

ノーマル状態から黒マーキングを薄めるパーセンテージはベースと同じ程度である。

よってノーマルの胸バーや尾バーが目立つのと同じように、レセッシブシルバーのそれも目立つ。

けしてベースと同化した灰色ではなく「薄まった黒」という感じである。

   

同じ希釈変異であるドミナントシルバーはオレンジマーキングをも薄めるが、レセッシブシルバーはチークパッチとフランクのオレンジ色をノーマルと同じ完全な濃さで残す。

   

   

【 オスの外観 】

頭~背翼面は明るい灰色。 クチバシの付け根、涙マーク、胸バー、尾バーは薄められた黒である。

喉ストライプは淡グレーのベースに薄められた黒で細い線が入る。

胸バーは薄い黒。

チークパッチとフランクのオレンジ色(フェオメラニン)はフルな濃さである。

腹は真っ白ではなくクリーム色を帯びる。下尾筒あたりはその色が濃い。

尾はごく薄い灰色である。尾カバーは薄い黒に白の縞が入る。

上尾筒は白い。ロアも白。

   

【 メスの外観 】

オスと同じくベースである灰色は薄められる。

涙マークと尾バーも薄められた黒となる。

オス特有のオレンジマーキングは無いが、そのエリア(頬と胸と脇腹)には体色が示される。

そのほかはオスと同じである。

   

【 ヒナと若鳥の外観 】

孵化したヒナの皮膚はノーマルのような黒ではなく、LBやGISのように薄まった色である。

巣立ち頃のヒナはすでに特徴的な羽色をしている。

若鳥は成鳥メスの姿によく似ている。

   

【 スプリット鳥の見分け方 】

RS遺伝子をスプリットの状態で隠し持った鳥を見抜く方法はない。

   


    

【 レセッシブシルバーについての補足説明 】

じつはこのレセッシブシルバーという種は日本にいないかもしれない。 過去にいたのかどうか私にはわからない。 ただ、かつてヨーロッパでは「珍しくなかった」ということなので、それなら昔に日本にも入ってきているはずと想像しているだけである。しかし現在、日本でこの品種を見たことがない。 ヨーロッパにもアメリカにもいることはいるが、それらの国々の本やウェブサイトを見ても、他の変異種についての説明や写真の多さに比べ、レセッシブシルバーは必ず名前は挙げられてはいるものの非常に写真が少なく扱いが小さい。 新しい変異が出現して人気が出ると、古いありふれた変異種は衰退する傾向があるのはどこでも同じ。 アメリカでもかつて「珍しくない鳥」だったのであるが今やショーに出品されなくなり、ショーで人気がないということは興味を持って繁殖されることもないということで、ほとんど見られなくなっているそうである。

錦華鳥ブリーダーのところにはおらず、どこかの施設や一般の飼鳥家のもとで禽舎に放し飼いされているような状況で細々と存続していて、たいていはパイドになってしまっているようである。 今やアメリカではフロリダファンシーの人気により、レセッシブシルバーは「珍しくない鳥」の座をシングルファクターFFに譲ってしまっている。 そしておそらくヨーロッパでも同じように、イザベルの人気により今やレセッシブシルバーはグレーイザベルにその「珍しくない鳥」の座を譲っていると思う。 アメリカで今、このタイプ(体色と黒マークが薄まりオレンジマークが濃い)の希釈を示しているほとんどの鳥はフロリダファンシーのシングルファクターであろうとロイ・ベッカム氏は言っている。 同様にヨーロッパではグレーイザベルがRSに取って代わっているのではないかと推測される。 日本でもそうではないかと思う。(過去にレセッシブシルバーがいたならの話であるが) ちなみにオーストラリアではレセッシブシルバーはスレートという名である。 そして過去にいちど絶滅している。 1960年に初めて出現し計画的繁殖によって複製され、多くの繁殖家によって1960年代終わりから1970年代初めにかけて殖やされたが、ショーにおいて未公認であったため人気がなくそのうち繁殖されなくなり急速に消失してしまった。 (ペンギンもその昔、オーストラリア発祥でありながら同じように消失している。) スレート(=RS)のほうは1978年になってニューサウスウェールズで偶然にマークホワイト♂とノーマル♀のペアから3羽のスレート♂が誕生した。 それ以降、いちど絶滅しただけに確実に殖やされ、ショーでも公認されたことにより今ではポピュラーになっている。

   

グレーイザベルとレセッシブシルバーは良く似ているが、判別する相違点を上げる。

   

  

まず体色であるが、グレーイザベルは「灰色」ではない。

ノーマルの背翼面にある褐色味を、薄めつつも残している。

翼の端(風切羽)には白っぽくグラデーションが入りさらにそこにオレンジ色素を含んでわずかに覆輪が入る傾向もある。

   

それに対してレセッシブシルバーは、欧米でシルバー(銀)に例えられ、オーストラリアでスレート(石板)に例えられたその灰色だけで統一されている。

   

もっとも分かりやすい相違は尾の縞である。

グレーイザベルの尾バーは体色と同レベル同色である。

背中より薄いと感じるほど薄まったグレーであるが、レセッシブシルバーの尾バーはあくまでも「薄まった黒」であり体色よりはるかに濃い。

涙マークも同様に、GISは分からないほど薄いが、RSははっきりと濃い。

そしてメスの喉元と胸は、GISは白いがRSでは体色の灰色がついている。

   

☆~余談~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆~~~☆

オーストラリアでスレートが復活したように、日本のどこかで偶然に出現したらぜひ複製してください。

昔々、古代と呼ばれていた鳥はグレーイザベルよりももっと青っぽいような灰色だったんだ、とおっしゃる方もいます。

それがレセッシブシルバーだったかもしれません。

   

ところでその日本にいないかもしれないRSのイメージ画像が大きく載せてありますが、これは私が描いたCGイラストです。

いくつかの海外サイトと何冊もの洋書からの写真と、A Guide to Zebra Finchesのイラストによる特徴解説、これら全部を見て特徴を忠実に似せて描いたイラストです。

著作権に触れるので写真をパクってこれませんから他にもオーストラリアの変異種など

写真が手に入らないものにつきましてはイラスト付きで解説のページを設けております。

  


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キンカフリーク/錦華鳥(キンカチョウ)の品種と遺伝解説

キンカチョウには変異が多く実に多彩なバリエーションを展開しています このホームページではキンカチョウの個々の変異遺伝子がもたらす特徴や遺伝のしかた さらにそれらの変異が結合(コンビネーション)して出現する多数の品種を 写真とともに解説したいと思います