イザベル( Isabel )

略表記はIS、常染色体上の劣性遺伝形質である

  

   

イザベル変異はオレンジ色素をノーマルのまま完全な強さで残しつつ、黒・グレー・フォーンの色素について希釈を引き起こす。

希釈のレベルには個体差があり、全体の色について濃いものから薄いものまで幅がある。

   

普通「イザベル」というとき、皆は上の写真のような白っぽい鳥を言っていると思う。

しかし本当の意味でのイザベルはこれではなく、下の写真のグレーの鳥がイザベルである。

   

常染色体にイザベル遺伝子が2個揃ったもの、これが「イザベル」のノーマル(=グレー)バージョンである。

グレーイザベルと呼び「GIS」と略される。

黒い色素はイザベル遺伝子によって抑制され薄められた状態である。


【 新しい情報 】

「フロリダファンシー」というアメリカ独自の変異種がいる。

このFFと、ヨーロッパの変異種であるイザベル(FISを指している)は同一のものであると今までは考えられてきた。

しかしフロリダファンシーとイザベルは同一ではないことが判明し遺伝的な詳細が解明されてきた。

(別ページ『イザベル(欧)とフロリダファンシー(米)』に詳しく書いたのでそちらを読んでください)

   


   

グレーイザベル(イザベルのノーマルバージョン)

  

古くから一般に「古代錦華鳥」と呼ばれてきたものだが、今これを「フォーン」と呼ぶ人多し。

明らかな間違い。

   

【 GISオスの外観 】

頭部~背翼面は薄められたグレーである。薄まりのレベルには個体差がある。

このイメージ画像より薄いもの(ライトフォーム)もいる。

胸バーは体色に近いレベルかそれ以上にまで薄められたグレーである。

喉ストライプのエリアは白地であり薄いグレーのゼブラストライプが載るが、じつに目立たない。

涙マークもグレーで目立たないがよく見れば確認できる。

チークパッチとフランクはノーマルと同じくらいの強さではっきりと示される。

ロアは白で、クチバシの付け根の黒い縁取りは消去されている。

腹はクリーム色を帯びる。下腹部から下尾筒は特にクリーム色である。

尾バーは淡いグレーで、背翼面の色と同じか薄いくらいである。

腰と上尾筒はクリーム色である。

   

【 GISメスの外観 】

オス特有のマーキングを取り除いただけで、オスと同じである。

メスのほうが腹部のクリーム色は広範囲で色も濃いようである。

アゴから胸にかけては体色でなくオフホワイトである。

   


   

そして一般には単にイザベルと呼ばれている白いタイプのものは、GISが性染色体にフォーン遺伝子を持ったもの、つまりフォーンとイザベルの結合型である。

これはフォーンイザベルといい、「FIS」と略される。

イザベル遺伝子により薄められた黒色素をフォーン遺伝子が完全に抑制しつつ、フォーンカラーじたいをもイザベル遺伝子が希釈する。

よって、じつに白っぽいベースの鳥が出来上がる。

   


   

フォーンイザベル(イザベルとフォーンの結合型である)

  

【 FISオスの外観 】

頭を含む体の上面はほぼ白く、翼面にはオレンジ色の「スパングル」と呼ばれる覆輪が入る。

涙マークと胸のマーキングは全くないのが理想である。

希釈の甘いものは少しベージュで痕跡を残すこともある。

チークとフランクはノーマルと同じくらい完全にオレンジを残す。

ロアは白。もちろんクチバシの付け根も白。

腰から上尾筒はクリーム色。腹部から下尾筒もクリーム色である。

尾バーは薄いベージュである。

   

【 FISメスの外観 】

オス特有のマーキングを差し引いただけで他はオスとほぼ同じである。

しかしながら翼面のスパングル模様はオスほど明瞭ではない。

そしてやはり腹部のクリーム色はオスより広範囲にわたって濃い。

   


   

最初に書いたようにGISは体色の濃度に個体差があり、かなり淡色化したものもいる。

ライトフォームGISとFISとの判別は尾を見るのがいい。

尾が灰色~銀灰色ならGISであり、FISならばライトブラウン~ライトベージュである。

  


  

【 ヒナと若鳥の外観 】

  

孵化したばかりのヒナのクチバシはフォーンやライトバックのように鈍い薄茶。

FISでもピンクではなく少しは色がついている。

皮膚の色はノーマルのような黒ではなく薄い色である。

雛羽の時からGIS,FISともに親とほぼ同じ色である。

雛換羽前の若鳥は成鳥メスの姿に似ている。

     

【 スプリット鳥の見分け方 】

イザベル遺伝子をスプリットの状態で隠し持っている鳥を外観から判別する方法はない。

    

【 イザベル変異と他変異との結合 】

おもにFISに関して、白い体に配されたオレンジ色のチークパッチやスパングルやフランクに対してそれを高めたり拡張したりする変異との結合が好まれよく見られる。

しかしメスには元々オレンジマーキングがないので、イザベルのメスにとってこの結合は外観的に影響が小さく結合の確認さえ難しいこともある。

   

   


◆ 結合品種の解説 ◆


   

ブラックブレスト・フォーンイザベル (BB FIS)   = Phaeo (フェーオ)

 

常染色体にBB遺伝子2個+イザベル遺伝子2個を持ち、さらに性染色体にフォーン遺伝子を2個(メスは1個)持ってその3種類の変異が同時発現した品種である。


この白い体にオレンジ色の頭を持ったオスを欧米では「Phaeo=フェーオ」と呼ぶ。

フェオメラニン(オレンジ色素Pheomelanin)から取った名前である。

日本ではこれを「ブラウンヘッド・スパングル」と呼んでいた時代がある。

正式名ではブラックブレストFISだが実際には胸が黒くないからであろう。


オレンジのチークパッチを拡張させるBB遺伝子の働きは同時にイザベルの背翼面のオレンジスパングルをも強調させる。

BB遺伝子はまたフランク上の白いスポットを引き伸ばし、尾バーをなくして白くする。

FISは黒色素の出現を抑えるのでBBが胸の黒を拡張しようとしてもそれは無効になる。

よって胸バーはない。

BB FISのメスはほとんどFISの外観のままだが、尾の横縞がなくなっている。



 

ブラックフェイス・グレーイザベル  (BF GIS)


GISのライトフォームでは胸バーは元が薄いのでBFが結合してもここへの影響はほとんど出ない。

しかし白かったロアがBFの働きでオスメスともにグレーになる。

イザベル遺伝子は黒を希釈するので黒くはならずグレー止まりである。

FISとBFとの結合だとライトフォームの場合は全くFISの外観のままである。

色素が濃い目のFISならロアと胸にはグレーでなくベージュが出るであろう。


メスはGISの外観とほとんど変わらずロアがグレーになるだけである。

FISならロアはベージュになる、それだけの変化である。



 

グレーイザベル/ob  (GIS/ob)


この画像の鳥はメスである。結合型ではないのだが面白いので載せてみた。

オレンジブレストのスプリットを持つメスにはチークパッチのようなものが出ることがある。

表現型OBでも出ることがある。

フランクのようなものが出ることもある。

OB遺伝子によりオレンジ色素を出すことが可能になったメスがこのようにオスのような特徴を出すことはままある。

品評会の審査基準的にはメスはメスらしくあるべきなのでこれは欠点なのだが、オールオレンジを作出する目的でメスをセレクトするならこのようにオレンジ色素をオスのように示してくるメスが良いと言われている。

 


 

ブラックブレスト・オレンジブレスト・フォーンイザベル (BB OB FIS)

 <オスの外観>

BBにより涙マークエリアが白になるのでその分ロアが広く見える。

チークパッチが拡張されるが、広がりのレベルは色々である。

理想として頭全部をオレンジで満たしたいと繁殖者はみな思い選別交配の努力を重ねている。

イザベルは胸バーを黒く出すことを許さない変異だがオレンジ色素は許す。

よってオスにブラックブレスト遺伝子とオレンジブレスト遺伝子が2個ずつ揃ったとき、フルな強さでオレンジの胸バーを出現させる。


<メスの外観>

もともと何もマーキングがないのでメスの判断は難しい。

尾バーが無くなっていること、しかもそこにオレンジが載っていること、胸のあたりや頬にもオレンジが出ていること、これらのことからBBとOBを1個は確実に持っていると判断する。

しかしそれぞれの遺伝子を2個ずつ持っているかどうかの外見での判断が難しい。

 


 

ブラックフェイス・ブラックブレスト・GIS (BF BB GIS)


オスのチークパッチが広がりフランクのスポットがなくなっている。

ロアと胸と腹が黒くなろうとしている。

イザベル遺伝子により黒くはなれないが、 黒系2種が揃っているのでけっこう濃く出ている。

胸に少しだけオレンジ色が混じっているようである。

オレンジブレスト遺伝子を1個だけ持っているかもしれない。

メスはロアと胸にグレーが出るがGISから大きく変わるわけではない。

 


 

ブラックフェイス・ブラックブレスト・ブラックチーク・GIS (BF BB BC GIS)


トリプル・ブラック」のイザベルバージョンである。

黒系変異の遺伝子は1種類だけ持っていても効果が薄いのだが、3種類も持てば助け合い効果でグレーをぼやぼやなりにも濃い目に出せる。

ブラックチークはBBと同時に持ってもチークパッチは広がらない。

黒系変異とイザベルとの結合はメスにはほとんど影響を及ぼさない。




ブラックフェイス・ブラックブレスト・フォーンイザベル/ob (BF BB FIS/ob)


<オス>

ロアと胸、腹が薄茶色いままオレンジになり切れていない。 もうひといきだが、オレンジブレスト遺伝子が1個足りてない。

<メス>

これはたぶんブラックフェイス・オレンジブレスト・フォーンイザベル/bb (BF OB F/bb)。

ロアが白でなく色がついているのでブラックフェイスなのは間違いない。

涙マークのエリアにオレンジが示されている。このことからオレンジブレストでもある。

尾に濃いオレンジが出ているのでOB遺伝子は2個持っていそうである。

しかし尾バーが崩れている程度で無くなってはいないのでブラックブレストについてはスプリトかもしれない。

何度もいうがメスは何の遺伝子を持っているか判断しづらい。

 


 

ブラックフェイス・ブラックブレスト・オレンジブレスト・フォーンイザベル

(BF BB OB FIS)

 

「Altimate=究極」といわれる「オールオレンジ・イザベル」である。

BF遺伝子は優性なので1個でいいが、BB遺伝子+OB遺伝子+F遺伝子+IS遺伝子、これら全てを2個ずつ持たせたオスがこのイメージ画像の鳥である。


それぞれの遺伝子の強さによって外観には個体差が出る。


BBが強くて尾バーが無くなるか、BFが強くてバーが出るか、また腹のオレンジがどこまで下へ広がるか、さらにフランクのスポットが有るか消えるか。

他にも頭全体にチークを拡張できるか、背翼面にオレンジスパングルをどれだけ多く出せるか。

オレンジの発色がムラなく鮮やかであるか。


単に遺伝子を結合させればこのイメージのような鳥ができるわけではない。

ここへ来るまでの種鳥のセレクトがブリーダーの力量である。

とにかくオスは判りやすいのだが、メスのセレクトが難しいのである。

 



イザベル・ペンギン (GIS PNG)

 

GIS,FISともにイザベルの色のままで体の下側全部が白になる。

イザベルは腹が豊かなクリーム色をした品種だが、それが純白になる。

ペンギンの特徴であるフロスティングは当然出すが、GIS,FISともに体色が薄いので目立たない。

オスのチークとフランクはイザベルのままフルな強さのオレンジを示す。


最近のFISはオールオレンジイザベルを作ることが人気なのでOBやBBの遺伝子が入っている事が多い。

その場合背翼面にはオレンジ色のスパングルが多く出るが、そうでない白いFISで作られたイザベル・ペンギンのオスは「レッド・フランク」という愛称で呼ばれる白い体にチークとフランクだけが赤いユニークな鳥になる。

ただしメスは体の殆んどが白いだけである。

 


 

ブラックチーク・イザベル (BC GIS)

 

もしFISならこの結合は相殺しあうこととなる。

いくらBCがノーマル状態のオレンジチークとフランクを黒くしようとしても、FISは黒色素そのものを出させないように働くのでFISの体色のままでチークとフランクが体色に、つまり白くなる。

BCはフランクに対しては働きが弱い傾向があるのでフランクはオレンジで少し残るかもしれない。

オスかメスか分かりづらいただ白っぽい外観になる。


BCとGISとの結合ということなら、GISは薄めながらも黒色素を出させるので、GISの体色でありながらチークは薄まった黒(灰色)になる。

イメージ画像のオスはGISのライトフォームなのでチークの色がボディとそう変わらない。

BBの特徴である引き伸ばされたスポットを示しているが涙マークのエリアに色があり尾バーが縞のままなのでBBスプリットを持っているであろう。




イザベル・CFW(GIS CFW)

☆画像なし!

 

これについてはCFWのページでも書いたが、避けるべき結合である。

GIS CFWであれば体色は白くなりチークとフランクが薄くされてほとんどCFWになりながらIS遺伝子の働きによって涙マークと胸バーも薄いという鳥になってしまう。

GIS CFWのメスは「涙マークが薄くなったCFW」というだけである。


FIS CFWであれば、体色は元々どちらも白いが、ただFISのオレンジスパングルが消えるしチークとフランクもCFWによって薄くなる。

逆にFISの働きとして黒の涙マークと胸バーを出させない。

よって白い体に薄いチークとフランクだけを持ったオス、ほとんど白だけのメス、という外観となる。

どちらも尾バーには薄い縞がある。

どこかで偶然できていて「何か判らない白い鳥」と言われているかもしれない。

 


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キンカフリーク/錦華鳥(キンカチョウ)の品種と遺伝解説

キンカチョウには変異が多く実に多彩なバリエーションを展開しています このホームページではキンカチョウの個々の変異遺伝子がもたらす特徴や遺伝のしかた さらにそれらの変異が結合(コンビネーション)して出現する多数の品種を 写真とともに解説したいと思います